区分建物に関する登記

通常の建物は、1階部分をAさんが所有し、2階部分をBさんが所有する、というような登記はできませんが、区分建物はできます。

区分建物(くぶんたんてもの)とは、一棟の建物の一部を独立して所有することができる建物のことで、区分所有建物と呼ぶこともあります。

区分所有を目的とした一棟の建物は、専有部分(せんゆうぶぶん)と 共用部分(きょうようぶぶん)に区別されます。

専有部分 とは、4階の2号室といった形で区切られた室内空間のことで、例えばマンションであれば、居住者が専有する部分です。

参考図:区分建物−一棟の建物と専有部分

一方の 共用部分 とは、エントランスやエレベーター、外廊下など、居住者が共同で使う部分は全て共用部分となります。

参考図:区分建物−共用部分と専有部分

さて、ここまでマンションを例にご紹介してきましたが、マンションが皆区分建物であるとは限りません。

区分所有を目的としなければ、マンションであっても通常の建物として登記できます。例えば、賃貸を目的としたマンションなどがそうです。

逆に、区分所有を目的とするのであれば、昔ながらの棟割長屋、最近ではテラスハウス(複数の建物が連続してつながっている住宅)も区分建物として登記することができます。

ただし、建物を区分建物として登記するためには、「構造上の独立性」と「利用上の独立性」といった要件を満たす必要があります。

構造上の独立性 とは、壁や床、天井などで他の部分と区分されている状態をいい、

利用上の独立性 とは、その区分建物が独立して利用できる状態であることをいいます。

これらの要件を満たしていない場合は、区分建物として登記できません(通常の建物として登記することはできます)ので、区分所有することはできません。

ところで、建物を建てるためには、土地が必要ですね。この建物の建っている土地を「敷地」と呼びます。そして、建物の所有者は、その敷地についても所有権や地上権などの、建物を建てることができる権利を持っているのが普通です。

この事は、マンションのような区分建物でも同じなのですが、区分建物の所有者が持っている敷地の権利(所有権や地上権など)を「敷地利用権(しきちりようけん)」と呼びます。

敷地権とは

通常の建物であれば、その敷地と建物はそれぞれ独立した不動産として別々に登記されていますので、例えば、一戸建て住宅とその敷地を所有していた人が、土地だけを売却したり、建物だけを売ることもできます。

参考図:通常建物と敷地

しかし、分譲マンションのような区分建物の登記簿には、その敷地に関する権利(敷地利用権)も一緒に登記されていて、専有部分と敷地の権利(敷地利用権)は分離して処分することができない扱いとなっています。

つまり、マンションを売り買いすると、その敷地の権利(敷地利用権)も一緒に売り買いされる仕組みになっているのです。

参考図:区分建物と敷地

敷地利用権が常に専有部分と一緒に売買等されることで、所有権移転登記などは、区分建物の登記簿のみに記載し、土地登記簿には記載しない扱いとなり、登記事務が簡略化され、登記簿上での権利確認も容易になりました。

敷地権(しきちけん)とは、区分建物の登記簿に登記された、専有部分と一体化された敷地利用権のことをいいます。

区分建物に関する登記

区分建物に関する登記には下記のようなものがあります。

  1. 区分建物表題登記
  2. 区分建物表題変更登記
  3. 建物区分登記
  4. 区分建物区分登記
  5. 区分建物分割登記
  6. 区分建物合併登記
  7. 区分建物の合体登記
  8. 区分建物滅失登記
  9. 共用部分たる旨の登記

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